作品紹介
女三宮降嫁が決まった翌年、光源氏は四十歳を迎えました。当時一般に四十歳からは老人の扱いとなり、長寿を祝う賀の行事が正月(玉鬘主催)を始めとして、十一月(紫上主催)、十二月(秋好中宮主催)、(冷泉帝主催)と何度も開かれ、必然的に老いを自覚しなければならないところに追い込まれていきます。その世の中の扱いに抗うように、その年の二月、光源氏は十四歳の女三宮を迎えました。息子たちと張り合って、若者たちすべてが憧れる女三宮を手に入れることで、光源氏は未だ現役の色好みであることをアピールしようとしたのです。しかし、当然のことながらそのような結婚はこれまでの光源氏世界を支えてきた紫上の立場を危うくします。より高位で、有力な、若き妻の出現によって、頼るべき子もいず、ひたすら光源氏の愛だけを頼りにしてきた紫上は傷つき、苦しみ、光源氏への不信感を募らせます。二人のすれ違いが六条院の世界を空洞化させていく様相をたどっていきます。
※劇場で配布されたオリジナルテキストもPDFで配信しております。サイトもしくはアプリからダウンロードの上ご利用ください。
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