ある夜の星たちの話

小川未明「ある夜の星たちの話」――



寒い冬の深夜、澄みきった空に輝く星たちは、静寂の中でそっと語りはじめます。

地上を見守る“やさしい星”は、貧しい家の姉弟、眠れぬ母親、働き続ける汽車や工場の煙突――

夜の世界でひっそりと生きている人々やものたちの姿を仲間の星たちに伝えていきます。

星の目を通して描かれるのは、人間の健気さ、弱さ、あたたかさ。


姉弟が見ている夢、寒さの中で赤ちゃんをあやす母親の息づかい、働く者たちへの星のまなざし。

冬の夜の静けさに、未明ならではの慈しみがそっと流れています。


朗読は、NHK松山放送局出身のフリーアナウンサー 福井一恵。

透明感のあるやさしい声が、深夜の空気と星たちのささやきを静かに映し出し、

聴く人の心に寄り添うように物語を紡ぎます。


静かな感動を求める方に、眠る前の時間に、やさしさに触れたい夜に。


100年近く読み継がれる未明童話の名作を、耳から味わう特別なひとときにどうぞ。