作品紹介
【小学館の名作文芸朗読】
ある秋の夜、縁側に立っていた夫がふと「散歩に行かないか」と妻を誘う。台所仕事を終えた妻は嬉しそうに支度を始め、白粉をつけ、少し時季は早いが袷を選んで着替える。夫も妻の身じまいを眺めながら今夜は特に綺麗にみえるよと声をかける。二人の心はぴったりと合い、暗い夜道を手を握り合って歩く。久しぶりの外出に、二人は静かな幸福に満たされていた。ところが電車に乗り込んだあたりから、妻の心に小さなさざ波が立ち始める。
ある秋の夜、縁側に立っていた夫がふと「散歩に行かないか」と妻を誘う。台所仕事を終えた妻は嬉しそうに支度を始め、白粉をつけ、少し時季は早いが袷を選んで着替える。夫も妻の身じまいを眺めながら今夜は特に綺麗にみえるよと声をかける。二人の心はぴったりと合い、暗い夜道を手を握り合って歩く。久しぶりの外出に、二人は静かな幸福に満たされていた。ところが電車に乗り込んだあたりから、妻の心に小さなさざ波が立ち始める。
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