作品紹介
【小学館の名作文芸朗読】
明治期から昭和期に、X線や震災などの研究活動をした物理学者の随筆。久しぶりに根津の藍染町にある荒物屋の前を通った。先年まで親友の黒田が下宿していたので、ほとんど毎日出入りしていた。あの頃よく話の種になったイタリア人がいる。黒田の宿の裏手に住んでいたジュセッポは、日本人の妻と子供二人と住んでいた。当時の自分には、暗い黄泉の闇で荒金を掘っている亡者のように思われた。彼に対して、侮蔑の念を抑える訳に行かなかった。
明治期から昭和期に、X線や震災などの研究活動をした物理学者の随筆。久しぶりに根津の藍染町にある荒物屋の前を通った。先年まで親友の黒田が下宿していたので、ほとんど毎日出入りしていた。あの頃よく話の種になったイタリア人がいる。黒田の宿の裏手に住んでいたジュセッポは、日本人の妻と子供二人と住んでいた。当時の自分には、暗い黄泉の闇で荒金を掘っている亡者のように思われた。彼に対して、侮蔑の念を抑える訳に行かなかった。
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