作品紹介
『桜桃』の初出は1948年(昭和23年)5月発行の総合雑誌「世界」。太宰と同郷で親交のあった作家・今官一(こん かんいち)が命名した太宰の忌日「桜桃忌」は、この作品のタイトルがもとになっていますが、この小説を発表した直後に、太宰は玉川上水に身を投げました。彼を死へ駆り立ててゆく様子がリアルに読み取れ、ある意味“遺書”めいたいわくつきの小説ですが、「夫」と「妻」の関係性や、よき家庭人であることと芸術や仕事に身を捧げることの両立にもがく「夫」の姿は、今日的な問題に相通じます。夫をヤケ酒に向かわせる、妻が思わずもらした「ひと言」。そして、虚勢みたいにつぶやくしかない夫の「ひと言」・・・。あなたも思わず、声に出してみたくなるはずです。
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