失蝶記

幕末の動乱期を舞台にした悲劇の物語。
　物語は、勤王派の若き藩士・谷川主計が、想いを寄せる女性・紺野かず子に宛てて記した手記の形で語られる。彼は、親友であり同志でもある杉永幹三郎を自らの手で斬ってしまった悲劇の真相を綴る


　大砲の試射中の事故で聴力を失い、政治活動の第一線から退かざるを得なくなった主計。そんな中、藩内の佐幕派を率いる重臣・真壁綱を暗殺する役目を、彼は自ら引き受ける。同志である梓久也の手引きと合図に従い、闇夜に待ち伏せた主計だったが、斬りつけた相手は真壁ではなく、身代わりとなった親友・杉永であった。

　友情、裏切り、そして聴力を失った男の孤独な戦いを描いた、重厚な時代小説です。



・この動画の目次
0:00　失蝶記　一
9:54　失蝶記　二
23:23　失蝶記　三
32:50　失蝶記　四
43:07　失蝶記　五
53:24　失蝶記　六
1:03:47　失蝶記　七
1:14:01　失蝶記　八

・主な登場人物
・谷川 主計（たにがわ かずえ）
物語の主人公であり語り手。勤王派の藩士。大砲の事故で聴力を失う。同志の裏切りにより、親友・杉永を斬ってしまう悲劇に見舞われる。

・杉永 幹三郎（すぎなが みきさぶろう）
主計の無二の親友であり、勤王派の同志。かず子の婚約者。主計を罠から救うため、自ら身代わりとなって命を落とす。

・紺野 かず子（こんの かずこ）
主計が密かに想いを寄せる女性。杉永の婚約者。主計が杉永を殺したと信じ、仇討ちのために彼を追う。

・梓 久也（あずさ ひさや）
勤王派の同志だったが、佐幕派に寝返った裏切り者。主計の失聴を利用し、杉永を殺害させるという非情な罠を仕掛ける。

・おすえ
農家の娘。かつて父が谷川家に世話になった恩義から、追われる身となった主計を献身的に匿い、支える。