作品紹介
戦国の世を舞台に、一人の若き僧侶の魂の遍歴を描く物語。生と死の真理を求め、経典の中に答えを見出せずに苦悩する主人公・俊恵。静かなる寺院での精神的な探求と、城をめぐる凄惨な合戦という動的な現実が交錯する中で、彼は思索の果てに衝撃的な「悟り」を得る。仏の道とは何か、そして人が真に生きるとはどういうことか。山本周五郎が力強い筆致で問いかける、感動的な一編です。
・あらすじ
昌平寺の若き僧・俊恵は、六年の修業を終えて帰山するも、その風貌と奇行から「荒法師」と噂される。彼は生と死の絶対的な真理「真如」を求め苦悩し、ついには本尊の釈迦像に刃向かい、経蔵に閉じ込められてしまう。折しも、豊臣軍が忍城に侵攻し、寺は戦火に焼かれる。燃え盛る経蔵から俊恵を救ったのは、墓守の孫娘・花世だった。
焼け残った客殿で、俊恵は花世と共に敵味方の区別なく負傷兵を介抱する。そんな中、彼は森で瀕死の武士と出会う。その武士は「成仏はせぬ。死してなお悪鬼羅刹となりて故郷と主君を守る」と壮絶な信念を語り絶命する。
・登場人物
俊恵 (しゅんけい)
物語の主人公。「荒法師」と呼ばれる若き僧。仏法の理論に答えを見出せず苦悩するが、戦場で兵士の壮絶な覚悟に触れ、行動の中に真の道を見出す。
花世 (はなよ)
墓守の孫娘。慈悲深く、燃える経蔵から俊恵を救い出す。彼女の献身的な行動は、俊恵に大きな影響を与える。
慧仙和尚 (けいせんおしょう)
昌平寺の住職で俊恵の師。伝統的な仏法の立場から俊恵を諭すが、彼の魂の渇きを完全に満たすことはできない。
瀕死の武者
俊恵に決定的な悟りを与える忍城の兵士。死んでもなお故郷を守るという強固な信念は、俊恵の迷いを打ち砕く。
■用語集
巨刹……大きな寺
威望……威光と人望
盛時……国や物事の、勢いの盛んなとき
挂錫……ケイシャク・カシャク・僧堂に籍を置いて修行すること
螺髪……仏像の髪形
看経……声を出して経を読むこと
拝跪……ひざまずいておがむこと
経蔵……寺院で、経典を収めておく蔵
跼蹐……きょくせき。跼天蹐地の略
壺中……こちゅう・壺の中。臆病な者
慴伏……ショウフク・勢いに怖れてひれ伏すこと
能事……為すべき事柄
衆生済度……迷いの苦しみから衆生を救って、悟りの世界に渡し導くこと
揺曳……ヨウエイ・ゆらゆらとただようこと
手斧……チョウナ・大工道具の一つ
啾啾……しくしくと力なくなくさま
鬼哭……キコク・亡霊がうかばれないで泣くこと
雷霆……かみなり
光輝……ひかりかがやくこと。名誉。
・あらすじ
昌平寺の若き僧・俊恵は、六年の修業を終えて帰山するも、その風貌と奇行から「荒法師」と噂される。彼は生と死の絶対的な真理「真如」を求め苦悩し、ついには本尊の釈迦像に刃向かい、経蔵に閉じ込められてしまう。折しも、豊臣軍が忍城に侵攻し、寺は戦火に焼かれる。燃え盛る経蔵から俊恵を救ったのは、墓守の孫娘・花世だった。
焼け残った客殿で、俊恵は花世と共に敵味方の区別なく負傷兵を介抱する。そんな中、彼は森で瀕死の武士と出会う。その武士は「成仏はせぬ。死してなお悪鬼羅刹となりて故郷と主君を守る」と壮絶な信念を語り絶命する。
・登場人物
俊恵 (しゅんけい)
物語の主人公。「荒法師」と呼ばれる若き僧。仏法の理論に答えを見出せず苦悩するが、戦場で兵士の壮絶な覚悟に触れ、行動の中に真の道を見出す。
花世 (はなよ)
墓守の孫娘。慈悲深く、燃える経蔵から俊恵を救い出す。彼女の献身的な行動は、俊恵に大きな影響を与える。
慧仙和尚 (けいせんおしょう)
昌平寺の住職で俊恵の師。伝統的な仏法の立場から俊恵を諭すが、彼の魂の渇きを完全に満たすことはできない。
瀕死の武者
俊恵に決定的な悟りを与える忍城の兵士。死んでもなお故郷を守るという強固な信念は、俊恵の迷いを打ち砕く。
■用語集
巨刹……大きな寺
威望……威光と人望
盛時……国や物事の、勢いの盛んなとき
挂錫……ケイシャク・カシャク・僧堂に籍を置いて修行すること
螺髪……仏像の髪形
看経……声を出して経を読むこと
拝跪……ひざまずいておがむこと
経蔵……寺院で、経典を収めておく蔵
跼蹐……きょくせき。跼天蹐地の略
壺中……こちゅう・壺の中。臆病な者
慴伏……ショウフク・勢いに怖れてひれ伏すこと
能事……為すべき事柄
衆生済度……迷いの苦しみから衆生を救って、悟りの世界に渡し導くこと
揺曳……ヨウエイ・ゆらゆらとただようこと
手斧……チョウナ・大工道具の一つ
啾啾……しくしくと力なくなくさま
鬼哭……キコク・亡霊がうかばれないで泣くこと
雷霆……かみなり
光輝……ひかりかがやくこと。名誉。
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