作品紹介
【日本近代文学名作選(43)】
樋口一葉(明治5年- 明治29年)による短編小説
「夕暮の店先に郵便脚夫が投込んで行きし女文字の書状一通、炬燵の間の洋燈のかげに讀んで、くる/\と帶の間へ卷收むれば起居に心の配られて物案じなる事一通りならず、おのづと色に見えて、結構人の旦那どの、何うぞしたかとお問ひのかゝるに、いえ、格別の事でも御座りますまいけれど、仲町の姉が何やら心配の事が有るほどに、此方から行けば宜いのなれど、やかましやの良人が暇といふては毛筋ほども明けさせて呉れぬ五月蠅さ、夜分なりと歸りは此方から送らせうほどにお良人に願ふて鳥渡來きて呉れられまいか、」ーー
初出 明治29年(1896年)2月「新文壇 二號」
朗読:長尾奈奈
企画/制作:声の書店
協力:株式会社 仕事
(C)2025 声の書店
樋口一葉(明治5年- 明治29年)による短編小説
「夕暮の店先に郵便脚夫が投込んで行きし女文字の書状一通、炬燵の間の洋燈のかげに讀んで、くる/\と帶の間へ卷收むれば起居に心の配られて物案じなる事一通りならず、おのづと色に見えて、結構人の旦那どの、何うぞしたかとお問ひのかゝるに、いえ、格別の事でも御座りますまいけれど、仲町の姉が何やら心配の事が有るほどに、此方から行けば宜いのなれど、やかましやの良人が暇といふては毛筋ほども明けさせて呉れぬ五月蠅さ、夜分なりと歸りは此方から送らせうほどにお良人に願ふて鳥渡來きて呉れられまいか、」ーー
初出 明治29年(1896年)2月「新文壇 二號」
朗読:長尾奈奈
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