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※日本マーケティングリサーチ機構2023年11月調べ
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暴風雨の中

出版社 丸竹書房

ナレーター七味春五郎

再生時間 00:54:19

添付資料 なし

販売開始日 2025/8/25

トラック数 7

作品紹介

(1)あらすじ
 江戸を襲った豪雨と隅田川の氾濫――水に沈みかけた船宿の離れに、指名手配中の船頭 佃の三之助 が独り取り残される。
 やがて捕物与力 武井屋佐平 が三之助を逮捕しに屋根伝いで侵入。三之助は抵抗せず縄に就くが、洪水で家そのものが流されようとしていた。
 そこへ船宿の看板娘 おしげ が櫂を手に乱入、佐平を昏倒させて三之助を救おうとする。三之助は逆に佐平を抱えて屋根へ脱出し、おしげをも助け出そうとするが濁流に呑まれかける。
 三之助は「生き延びたら共に生き直そう、死ぬなら一緒だ」とおしげを抱き締める。家は激しく傾き、二人を乗せたまま闇の水面へ滑り出していく――運命は水底か、それとも再生か。

(2)解説(テーマ・構造・モチーフ)
社会的不条理への告発
 三之助が殺した油屋仁兵衛は“法に触れない強欲”で庶民を食い物にした高利貸し。飢えと貧困に追い詰められる弱者の姿は、江戸期の経済格差を現在的問題として照射する。

“逃亡者”の倫理と贖罪
 序盤、三之助は洪水とともに自死を選ぼうとするが、おしげと佐平を守る選択で“死による償い”から“生きて償う”へと心情が反転する。極限状況が人間の本性を暴く定番の周五郎節。

暴風雨=カタルシスの舞台装置
 物理的な水圧と人間関係の圧力がシンクロし、建物の傾斜や崩落がドラマのタイムリミットを可視化。水音・風音の擬音描写が読者の身体感覚に訴える。

女性像の反転
 儚げに見えたおしげが櫂で与力を殴り、洪水へ飛び込む行為は“受け身の遊女像”を覆す。周五郎が好む「芯の強い女性」像が鮮烈。

小道具としての“櫂”と“縄”
 櫂は救済と暴力の二面、縄は罪と束縛の象徴。終盤で三之助の縄が切られ、櫂は流される――二人の未来を暗示するメタファーとして機能する。

(3)登場人物一覧
人物 立場・特徴
・佃の三之助
船頭上がりの侠客。油屋仁兵衛殺しで指名手配中。洪水の家に残り自決を覚悟するが転機を迎える。

・おしげ
船宿「船七」の看板娘。長年三之助を想い、暴風雨の中で命懸けの救出に奔る。

・武井屋佐平
与力手付。律儀に職務を遂行するが、洪水で命を救われる。

・油屋仁兵衛
強欲な家主・高利貸し。過去に三之助に短刀で討たれた被害者。

・政吉・いち
  佃島で貧困にあえぐ三之助の両親。幼少期の飢餓体験の背景を形成。

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