日日平安

１９５４年(昭和２９年)７月　『サンデー毎日涼風特別号』掲載作品

■あらすじ
　飢渇には耐ええず、金もなし――

　生きることにドン詰まった菅田平野

　切腹を「演出」することで金を得ようとする。

　ところが、通りがかった井坂十郎太

　同情するどころか、本当に介錯をしようとする――

　慌てた菅田平野は、いっさいを打ち明けるが、今度はお家騒動に巻き込まれることにあいなった

　黒澤明監督の【椿三十郎】原作の、名作滑稽劇です。




■登場人物
菅田　平野……北越浪人。ひょんなことから、十郎太と知り合い、悪徳家老と戦う。

井坂十郎太……陸田(くがた)精兵衛の甥。藩政改革を計画する。。
陸田精兵衛……城代家老。
お　の　女……精兵衛の妻。
千　鳥　　……精兵衛の娘。十郎太の従兄妹。
こ　い　そ……千鳥の侍女。
寺田　文治……馬廻。十郎太の同士。
保川英之助……徒士目付。十郎太の同士。
河原　源内……徒士目付。十郎太の同士。
守島　仲太……鉄砲組支配。十郎太の同士。
関口兵次郎……櫓番。十郎太の同士。
八田益太郎……徒士組番頭。十郎太の同士。
寺田乙三郎……文治の弟。十郎太の同士。
広瀬　半六……鉄砲組番頭。十郎太の同士。
島口　存平……徒士頭。十郎太の同士。
黒藤源太夫……次席家老。藩政を壟断する。
仲島弥五郎……留守役上席。黒藤派。
前林久之進……国許用人。黒藤派。
菊井六郎兵衛……大目付。
庄野　主税……精兵衛への客。
渡　辺　　……黒藤家の若侍。


■用語集
文銭……ブンセン・文字銭
業腹……ゴウハラ・むしゃくにさわること
怨嗟……エンサ・うらみ嘆くこと
五風十雨……世の中が安泰であること
陋劣……ロウレツ・卑劣
食指……ショクシ・人差し指
杞憂……キユウ・取り越し苦労
首魁……シュカイ・首謀者。先駆
湮滅……インメツ・跡形もなく消すこと
転嫁……テンカ・罪・責任を他人になすりつけること
矢立……ヤタテ・腰に差して携行した筆記具
料紙……リョウシ・物を書くのに用いる紙
哀訴……アイソ・強く嘆き訴え、同情を引くこと
地雨……ジアメ・一定の強さで長く降り続く雨
家扶……カフ・家務、会計にたずさわる人
齟齬……ソゴ・行き違い
索漠……サクバク・物寂しく感じる様
鳴音……メイオン・ハウリング