青竹

青竹は、１９４２年(昭和１７年)９月　『ますらを』に掲載された作品です。

　時は戦国。

　徳川豊臣の一大決戦前夜

　名ある大将を討ち取っても名乗らず

　恩賞をうけても、誇らず奢らず喜ばなかった男

　余吾源七郎

　青竹よりまっすぐに天地に屹立する唯一人の戦国男

　その男の生涯一度の恋愛噺

　三十九歳の山本周五郎は、いかに描いたのか？

　お聞きください。


■登場人物紹介
余吾源七郎……井伊家家臣。直孝の傅役。
本多忠勝……徳川の武将。
井伊直政……徳川の武将。
井伊直孝……直政の二男。
根本玄蕃……井伊家家臣。
竹岡兵庫……井伊家老臣。源七郎に娘をもらってくれと頼む。
井伊直勝……直政の長男。
兵庫の娘……竹岡兵庫の娘。早逝する。

■用語集
記章……キショウ・関係者に与える印
恬淡……テンタン・欲が泣く物事に執着しないこと
伺候……シコウ・様子を見ること
大書院……オオジョイン・武家の客間
拝揖……ハイユウ・お辞儀、会釈にあたる作法
佩刀……ハカセ
累進……ルイシン・地位などが進み、上位に上ること
逼塞……ヒッソク・武士や僧侶にかされた刑罰。門を閉ざし、昼間の出入りを許さなかった。
憐憫……レンビン・あわれみ
機微……キビ・微妙な趣や事情