初午試合討ち

１９３８年(昭和１３年)２月　『新少年』
　本所霙河岸と同系統の作品。昭和１４年５月に書かれた物で、道場主の娘をめぐって、高弟の二人に諍いがおこる。一方が武者修行に出る。家事で師匠は焼死するが、疑いが残されて……という、大筋はかなり似通っている。
　もちろん一年後に書かれた物は、矛盾点を解決して、さまざまな味付けが為されています。山本周五郎の習作の苦心がうかがえます。

・本所霙河岸はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=AZgwdVXEq58



■登場人物
仁木兵馬……一刀流の剣士。武者修行の旅に出る。
松林甲子雄……兵馬と並ぶ剣士。小浪に思いを寄せる。
小浪……図書の娘。兵馬に思いを寄せる。
本山図書……梶派一刀流の道場主

安吉……鍔狂いのお天気安。
佐兵衛……は組の火消し頭
辰……は組の若い衆
孫七……本山道場のじいや

■用語集
だんびら……大刀
清姫……安珍・清姫伝説の登場人物
道成寺……こちらも安珍・清姫伝説の舞台