作品紹介
【小学館の名作文芸朗読】
書くことを放棄して一週間余り。生活は気力の抜けた平衡を失したものになっていた。不活発な状態はふだん経験する以上に変なところがあり、何をやり始めても中途半端が続く。昼頃まで夢を見ながら寝ている自分には、夢か現実かも分からなくなる。ある日、ようやく為替が届いたので、金に替えるため、雪道の中を本郷の銀行に向かう。ところが、いくら待っても、係は自分の名前をなかなか呼ばないのだ。
書くことを放棄して一週間余り。生活は気力の抜けた平衡を失したものになっていた。不活発な状態はふだん経験する以上に変なところがあり、何をやり始めても中途半端が続く。昼頃まで夢を見ながら寝ている自分には、夢か現実かも分からなくなる。ある日、ようやく為替が届いたので、金に替えるため、雪道の中を本郷の銀行に向かう。ところが、いくら待っても、係は自分の名前をなかなか呼ばないのだ。
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