捨児

■あらすじ
　桶屋職人の重吉は、腕はいいが、時代のはやりについていけず、販路を広げていく仲間を尻目にくすぶっていた。四人の子どもをかかえ、女房子をかかえ、行き詰まる重吉の胸は、むなしく悲しい思いが積もっていった。
　かつての仲間たちは、流行にのって、仕事の手をかえろとすすめるが、頑固な彼のとった決断は……

　山本周五郎が不器用な親父と家族の愛を描ききった傑作短編！　全文朗読しています。


◆登場人物紹介
重吉……火鉢店｢五桐｣の職人。
お直……重吉の女房。
良吉……重吉の長男。
おつぎ……重吉の長女。
亀吉……重吉の二男。
お芳……重吉の二女。
新助……元｢五桐｣の職人。独立して金六町に住む。
お蝶……飲屋｢お蝶｣の主人。重吉を気にかけている。
おたま……｢お蝶｣の女中。
源平……飲屋｢源平｣の主人。
おくに……源平の女房。
真二郎……元｢五桐｣の職人。独立して檜物町に住む。
おたつ……重吉の長屋の隣家の娘。
喜助……飲屋で知り合った男。


◆用語集
小態……コテイ・つつましいさま、こじんまりしたさま。
ぶま……気が利かず、間が抜けていること。へま
頑是……ガンゼ・是非の区別。分別。
後架……コウカ・トイレ
左前……雲が傾く、経済的に苦しくなる
幅なこと……分に過ぎたかんじ