おたは嫌いだ

１９５５年(昭和３０年)３月　『読切小説倶楽部』
　幼なじみで、一度は姉に結婚をすすめられるが、どうしてもおたを妹ていどにしか見られない門太。一計をあんじて、自ら探し出した結婚相手をつぎつぎと姉の元に送り、婚約の許可までこぎつけるが……著者得意の滑稽物です。



■登場人物
津由木門太……馬廻り。普請場手伝い。
す　み　江……松島。門太の姉。奥向きの中老。
双　　　葉……奥女中。門太の幼馴染。
小　　　萩……門太の叔母。
税所　主殿……年寄肝入。門太にすみ江との縁談を頼む。
三浦信吉郎……門太の友人。
折　　　田……次席家老。
松平対馬守……藩主。
八　　　重……喜助の妹。松島の部屋子。
喜　　　助……和泉屋。京染の主人。八重の兄。
な　　　み……松島の部屋子。
お　　　銀……料理茶屋｢辰巳｣の娘。門太が結婚を考えている。
お　む　ら……お銀の妹。
洲崎の伝次……やくざ。
若　旦　那……吉野屋。
国井　靭負……勘定奉行。双葉の父。
松木秀十郎……普請場支配。門太の上司。
渡辺　備後……普請場総支配。


■用語集
呪詛……ジュソ・呪い。呪うための行為。
用度……ヨウド・物品を供給係
進物……シンモツ・他人に進上する品物、贈り物
違約……イヤク・約束をたがえること。
平ぐけ……ひもや帯に芯 (しん) を入れず、平らに仕上がるようにくけること。また、そのひもや帯。
印章……インショウ・はんこ
禁足……キンソク・一定の場所に居させて、外出・旅行を禁ずること。
賜暇……シカ・官公吏が願い出て休暇をもらうこと。その休暇。
夢殿……ユメドノ・法隆寺の東院の正堂。
業病者……ゴウビョウシャ・前世の悪業 の報いでかかるとされた、治りにくい病気。難病。
褒貶……ホウヘン・ほめることとけなすこと。
褒賞……ホウショウ・ ほめたたえること。