竜と虎

■あらすじ
１９４０年(昭和１５年)４月　『キング増刊号』
滑稽物の傑作で、山本周五郎作品一流の、頑固老人が活躍。
37才のときの作品で、太平洋戦争勃発前夜――の割にやたら明るい作品。
年の離れた男の友情をユーモアにあふれた会話でぐいぐいと読ませます。
お聴きください。


■登場人物
西郡至……岡崎藩の書院番。作事奉行の加役となる。
灰島市郎兵衛……作事奉行。至を好むものの、あうといつも口論になる。灰島伊織……市郎兵衛の子。近習番。
幸枝……市郎兵衛の娘。至が好意を寄せる。
八木次郎太……堤防復旧工事加役。幸枝への求婚を至に頼む。
夏女……至の母。
かね……元西郡家の婢。
内田……老職。


■用語集
推称……スイショウ・ある品・人・事柄などがすぐれているのを人に向かってほめること。

陶冶……トウヤ・才能・性質などをねって作り上げること。
別墅……ベッショ・しもやしき。別荘。
灌水……カンスイ・水を与えること
葦切……ヨシキリ・アシの中にすみ、「ギョギョシ」とやかましく鳴く。 ギョウギョウシ。 ヨシワラスズメ。