月の松山

■あらすじ
　１９５４年(昭和２９年)８月　『キング』
山本周五郎、51才。間門園にうつり、樅の木は残った、の連載を開始。年末には正雪記も連載。「中堅作家の一人だった山本周五郎の名前が畏敬をもってかたられるようになった」とは、直木賞作家の大地唯雄の言。不治の病を宣告された男が、婚約者のために孤独な奔走を続ける本作は、中村錦之助によりドラマ化もされた名品である。


■登場人物
宗城孝也……茂庭道場の代師範。不治の病におちいる。
桂……信高の娘。
西秋泰二郎……茂庭道場の古参の門人。
茂庭掃部介信高……鞍馬古流の小太刀の道場主。病気。
花崗道円……医者。
お品……小間使い。
庄司勇之助……茂庭道場の門人。
益島弁三郎……茂庭道場の門人。
宮原忠兵衛……茂庭道場の門人。
宗城伊十郎……孝也の父。元越前藩士。
坪田与兵衛……大地主。
俣野孫右衛門……茂庭家の用人。
大道寺九十郎……松平家の家臣。
日野数右衛門……元茂庭道場の門人。
無元……広雲寺の和尚。
弥六……下僕。


■用語集
呻吟……シンギン・苦しみうめくこと。
瀆職……トクショク・職をけがすこと。 特に公務員が私利私欲のために職責をけがすこと。 「汚職」で言い換える。
地着……ジツキ・その土地に生まれ、住みついていること。また、その土地に常住していること。土着。 .
池畔……チハン・池のほとり。
関頭……カントウ・重大な分かれ目。瀬戸際。
揺曳……ヨウエイ・ゆらゆらとなびくこと。
怒張……ドチョウ・血管などが、はちきれるようにふくれあがること。
脱疽……ダッソ・壊疽とも。