本所霙河岸

１９３９年(昭和１４年)５月　『婦人倶楽部』
　婦人倶楽部にこれが載るの？というぐらい講談雑誌向きのお話。五年の剣術修行から江戸に戻ってきた秋山省吾は、師匠の横井の死、道場の火失、を知る。違和感をおぼえた省吾は、道場の周辺をさぐるが……


■登場人物
秋　山　省　吾……西脇道場の代師範。修業の旅に出ている。
松　江　　　　……五郎左衛門の娘。省吾を想っている。
横井　千之助　……西脇道場の代師範。五郎左衛門の死後、道場をひきつぐ。
西脇五郎左衛門……源流兵法道場の主。松江の父。
喜　三　郎　　……火消し。や組の鳶職。
鶴　七　　　　……居酒屋｢鶴七｣の主人。
銀　太　　　　……火消し。
角　兄　哥　　……火消し。
庄　兵　衛　　……道具屋｢佐渡屋｣の主人。
分部　半兵衛　……松江藩の用人。
相良　伝十郎　……道場の内門人。
お　繁　　　　……道場の女中。


■用語集
参内……サンダイ・皇居に参上すること。参朝。
八間……ハチケン・平たい大形の釣り行灯あんどん。湯屋・寄席・居酒屋など人の集まる所で、天井などにつるして用いた。
手妻……テヅマ・手品、奇術
さんぴん……サムライの蔑称
別懇……ベッコン・特別に懇意なこと。とりわけ親しいこと。
去冬……キョトウ・去年の冬
対座……タイザ・向かい合って座ること
犀利……サイリ・文章の勢いや頭の働きが鋭いこと。また、真実を鋭くついているさま。
酔漢……スイカン・酔っ払い