作品紹介
杉田弦八郎は、三日前に御達しが下り、洲の鼻の番所頭に任ぜられた。役料も百石増しとなったので、叔父の根上棋兵衛に報告にいき、棋兵衛の娘で許嫁者の弓江との結婚の許しをもらいに行った。その夜は、同役たちが祝宴を催してくれることとなっていた。その祝宴の席で弦八郎は、旧い友達、建部金吾に会う。彼は番所勤めが二年になるので内情も色々と知っているが、どことなく歯に衣を着せた口ぶりだった。そしてふいに盃を置くと番所に泊まる出役というので先に帰ってしまった。しばらくすると若い番士が「密貿易船を抑えた。」と云って入ってきた。就任早々の事件、弦八郎は酔いも一気に醒め、張り切った気持ちで酒楼を出たのであった。
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