作品紹介
主人公 狩谷夏雄は、二十二歳の春から兵法修行の旅に出ていた。それから五年、できるだけ山間僻地を廻って隠れた剣人を尋ね、剣法を職業としない人のみが持っている純粋なものだけを学んできた。彼は幼い頃から武芸が好きで既に十歳の頃から藩の進武館に入り、十九歳で筆頭の札を掲げるほど才分に恵まれていた。今彼は、五年の修行を終えて信濃国西条の城下町に帰ってきたところだった。帰郷の感動でいっぱいな胸は父を思い、兄を思い、友の誰彼を思い胸を熱くしながらもう家の見える角まで歩いて来た時、突然後ろから「狩谷氏」ではないかと声をかけられ、不用意に振り返った面上へ意外にいきなりぱっと抜き打ちを掛けられた。
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