作品紹介
江戸から赴任してきた新しい勘定奉行、折岩弥太夫の女嫌いは江戸屋敷で知らない者はない。妻を持たないばかりか、召使も女を置かない。この頃の幕府、大藩諸侯に共通して、藩主の婦人や側室を擁する「奥」の勢力はひじょうなもので、女官長は京の某公卿からきているし、老女、中臈、若年寄など、ほとんど江戸屋敷と同じ組織を持っていた。政治の運営もこれら女官たちの好意と支持がなければうまくいかなかった。これは不均衡であり、不公正である。男女は同権でなければならない。たとえ封建伝統の世なりとて、男も人間であってみればそうそう女の専権に屈服してはいられない。弥太夫は男権確立のために戦う決心をした。
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