藤重直彦歌集

出版社 22世紀アート

ナレーター板倉光隆

再生時間 08:18:59

添付資料 なし

販売開始日 2022/11/8

トラック数 12

購入音源の倍速版 なし(アプリでの倍速再生は可能です)

作品紹介

「黄に明る」を出してから、続いて歌集を作る気はなくなっていました。 身体的には頸椎ヘルニアの手術の後、十年ほどして脊柱管狭窄症の手術を受け、さらに十年ほどして二度目の手術を受け、非常勤で勤めていた老年科精神科病院も辞め、術後のリハビリに専念していましたが、精神的には危うい状態にあって、電子書籍として歌集を出さないかという22世紀アートさんのお誘いを思い出し、お願いすることにしました。 「湖影」「黄に明る」も収録してもらい、それ以後の歌を四つの歌集にし、まとめて出すことにしました。 ありがたいことでした。 「湖影」は昭和五九年から平成七年までのもの。 「あとがき」で 「私の歌は、ただ目の前にある草や木や鳥、川や空や湖になんとかして自分を留まらせたいという願いに過ぎない、いわば自分自身に対する精神療法である。」 と書きました。 「黄に明る」は平成七年から平成十三年まで。 「あとがき」で 「頸椎の椎間板ヘルニアの手術を平成十一年秋に受けました。リハビリ後、誘われてはじめて海外旅行というものをしました。」 と書きました。(あとがきより)

【著者プロフィール】
藤重 直彦(ふじしげ・なおひこ)

昭和11年  広島県生まれ。 昭和32年 京都大学医学部進学課程入学。 一回生の冬腎炎に罹患休学。 その後復学して38年医学部進学。 昭和42年 医学部卒業。矯正医官として働く。

[読者から頂いたお声]
現代短歌を好んで読むわたしにとって、偶然手にした「藤重直彦歌集」は衝撃的な一冊だった。自然を美しく詠んだものがあるかと思えば、人間の弱々しさが描かれたり、力強さが描かれたりしている。これが近代短歌か、と思うと同時に、そんな一言で片付けてしまってはいけない何かを感じた。
 この歌集は、著者の第一歌集から第六歌集までを集めたものだという。自分でも短歌を詠むことがあるからよくわかるけれど、これだけの数の短歌が並んでいるということがまず圧巻だった。そしてひとつひとつを読んでいくにつれ、著者がみた景色や登場する人間たちに自分が近寄っていくのを感じる。それは昭和五十九年の景色であったり、平成二十八年の景色だったりするわけだが、自分が生まれていない昔の景色であってもなぜか生々しく目の前に浮かび上がってくる。不思議な感覚だった。
 各歌集は、小さなタイトルのあとに数首の短歌が並ぶ形で収まっている。そのタイトルがまた秀逸で、「不安」「記憶」といった短歌を想像させるものから「低き声」「光るもろこ」のように思わず読まずにいられなくなるものまで幅広い。わたしは著者と共に年月を過ごすつもりで頭から終わりまで順番通りに読んだけれど、目次に並ぶタイトルから気になったものを順番に読んでいくというのも楽しそうだと思う。目次にリンクが貼ってある、電子書籍ならではの読み方だ。
 たくさんの短歌が載っているこの本だが、わたしが一番好きだと思ったのは第三歌集「対岸」だ。季節の景色、異国の景色、人々の記憶に残る大きな出来事などが集約されており、自分が過ごした平成十四年~十八年を思い返しながら読むことができた。長い年月をかけて詠まれた短歌たちだからこそ、こうやって自分の人生と照らし合わせながら噛み締めることができるのも素敵だと思う。
 あとがきを読み、最後の歌集を出した平成二十八年以降も短歌を詠まれていることがわかってうれしくなった。読み終わるに近づき、歌人藤重直彦の新しい歌を読みたいと思う気持ちが強くなっていたからだ。「袴腰山」に続く新しい歌が詠まれることを望んでやまない。(30代:女性)

戦時中から戦後の激動の世の中で、大学の医学部に進学され、在籍中にも腎炎を患われ、身体的にも精神的にも決して楽とはいえない作者様の背景を知り、本書や他著書の中でも作者様のご苦労された人生経験の中で培かわれた、数々の作品の中でも感じる命に対する思い、人生の重み、お使いになられてる言葉のユーモア・センス、自然や季節を感じることができる楽しさ・嬉しさなどがとても伝わってまいりまして、作品の一つ一つに引き込まれておりました。
今回、こちらのご本を出される事になった経緯でも、頸椎ヘルニアの手術や2度に渡る脊柱管狭窄症の手術などで、お勤めの病院もお辞めになって、リハビリに専念されてきた中、作品・本を出版されることで、作者様の精神的な緩和に繋がり、前向きになられたという背景も知りまして、更にご苦労されてきた人生経験・生きざまに悲しみを抱いたと共に、なおその状態でも作品づくりにかける思いや情熱を感じ、驚愕の念を抱き、深く感動いたしました。
これは、本書のあとがきに作者様も書いていただいている「私の歌は、ただ目の前にある草や木や鳥、川や空や湖になんとかして自分を留まらせたいという願いに過ぎない、いわば自分自身に対する精神療法である。」というお言葉からも強く伝わってきて、まさに作者様にとって、短歌とは人生の生きる糧、バイブルとなっておられるのだと感じ、深く共感いたしました。特に、作者様の作品は出かけられた際の風景や自然、季節や動物など、目に見え肌で感じられた思いや感情がまっすぐなお言葉・表現で書かれており、大変親しみやすい作品が多いです。ゆえに、私のような短歌に対して浅学の者でも、気軽に読み進めることができました。
作品の中で「寅さんのビデオに今にして気づく人を愛せない男の話」私自身も寅さんが好きで、シリーズ作品を拝見しながら、今にして思う寅さんの不器用さに対しての同じ思いを抱いておりましたので、親近感を覚えました。(30代:男性)

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