作品紹介
探偵小説家である「私」が、博物館で知り合った女性・静子は、実業家小山田六郎氏の夫人で、私の小説の愛読者であり、私も相手に女性としての魅力を感じた。あるとき静子は、女学生のころに少しだけ付き合ったのちに別れた男から逆恨みを受け、脅迫されているとの相談を持ち掛けてきた。その相手が、私と同じ探偵小説家の大江春泥であるという。脅迫状には、犯罪者の残虐性を徹底的に描く春泥の作風そのものの文体で、復讐の誓いとともに静子の殺害予告がしたためてあり、ある夜の静子の邸内での様子が分刻みで克明に記録されてあった。春泥は何らかの方法で静子の行動を監視しているらしい。そして新たに来た脅迫状に、静子より先に夫の六郎氏を殺害すると予告してあったとおり、まもなく六郎氏が死体となって発見された。その後、静子との性的な遊戯に没入していった私は、一方では、姿をくらました大江春泥の行方を探偵して行くが、推理を展開するほどに、その正体がわからなくなってくる。
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