作品紹介
画家という職業でありながら、ろくに一枚の絵も完成させたことのない野崎三郎の興味の中心は、種々の美術品を鑑賞することと、それにも増して、絵のモデルを口実に理想の女を探し求めることであった。どんなモデル女にもすぐに飽きてしまうの彼の前に、あるとき、お蝶という完全無欠の女が現れる。夢中になった野崎が、お蝶の身体に溺れて日を過ごすうち、お蝶が、東京を捨てて、どこかへ一緒に逃げてほしいと言う。賛同した野崎がお蝶とともに移り住んだのが、信濃の温泉場の籾山ホテルであった。そこの快適な浴場設備と大自然を満喫していたある日、森の中でお蝶の姿が見えなくなる。警察をはじめ近所の人たち総出の捜索の甲斐もなく、底なし沼に落ち込んだのであろうということであった。諦めきれない野崎は、その後、同温泉を訪れた画家仲間の植村喜八とともに、お蝶の手がかりを追って森の中を探索していたが、何者かによって二人は洞窟の中へ閉じ込められてしまう。そこには、想像を絶する過酷な試練が彼らを待ち受けていた。
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