作品紹介
幼いころからレンズや鏡を使った遊びに夢中になっていた「私」は、筒やボール紙を組み合わせた中で、光を反射・屈折させて、他の部屋の様子を覗き見できる潜望鏡のようなものも作り上げていた。成人後、神経衰弱症の療養と避暑を兼ねて、湖畔亭という山中の旅館に滞在した折にも、それを携行していた。そのうち山奥の単調な日々に飽き、“覗き眼鏡”を浴場の脱衣場に設置して眺め暮らしていたある日、生々しい殺人の状況がそこに映し出された。ところが、現場にはそのような痕跡もない。幻覚か?そんなはずはない。宿の人に知らせようにも、勝手に“覗き眼鏡”を設置したことがバレてはまずい、思い惑ううちに現れたのは、たまたま宿に泊まり合わせた河野という青年である。彼にすべてを打ち明けたところ、大いに興味を示し、彼個人として事件を探偵してみたいと言う。
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