作品紹介
よく晴れた秋の一日、友達と自宅近くの広っぱを散歩していた「私」は、小川のほとりに生えているある植物に気付き、その用法についての知識を詳細に語っていた。ところが、その、古来から伝わる堕胎の妙薬であるという説明を立ち聞きしていた女があった。それは、子沢山ゆえの生活苦にあえぐ、五か月の身重の隣家の女房で、私は、中絶を暗示してしまったのではないかと、その後、罪の意識にさいなまれる。ついにいたたまれなくなり、草のところまで行ってみると、一本の茎がポッキリ折り採られており、数日後に出会ったその女房のお腹は、「餓えた痩せ犬の様に、」ペチャンコになっていたのであった。
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