作品紹介
遊びも、職業も、何をやっても面白くない郷田三郎は、住む場所にもすぐに飽きてしまい、東京中を転々とするうちに、今度引き移った東栄館という新築の下宿屋において、一つのすばらしい楽しみ発見した。真新しい押入れの上段に入れた布団の上に寝てみると、船の寝台のようで心地よく、その中で多くの時間を過ごすようになる。そのうちに、押入れの天井板が一枚、外せるようになっていることに気付き、屋根裏という、彼だけの「散歩道」を発見したのである。この散歩によって、他人のプライバシーを独占できることに夢中となった彼の歪んだ好奇心はエスカレートし、ついには殺人という行為を企むようになる。それも、絶対にバレない方法によって。
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