作品紹介
実業家として一代で大身代を築き上げた平田氏は、随分罪なこともやって来たため、彼に恨みを抱くものも少なくなかった。ある日、その中でも最も執拗に彼をつけ狙う辻堂老人が死んだという情報を得て、やっとこれまでの警戒を解くことができた。ところが、その葬儀から四日目に、死んだはずの辻堂から、怨霊となってとり殺してやるという恐ろしい内容の手紙が届いた。その後平田氏は、かかってきた電話に辻堂の声を聴き、行く先々でその顔を見るようになり、もしや相手は生きているのではないかと戸籍謄本を取り寄せてみたが、朱でもって、死亡の旨が記されているのである。気分転換にと、家族の勧めで海辺の温泉地へ転地保養に赴くが、またしても現れる辻堂の姿。そこへ、一人の青年が現れ、巧みな話術をもって、秘密主義者の平田氏からあらましの詳細を聞き出してしまった。
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