作品紹介
冬の温泉場で、二人の男が語り合っている。顔面をはじめ体中の古傷を披露しつつ、戦時の実戦談を語り終えた斎藤氏に対して、一方の井原氏も、自分の一生を台無しにした事柄について話し始める。学生時代のある日、同じ下宿に住む友人が指摘して言うことには、前の晩に井原氏が部屋に入ってきて一方的に議論をし、葉書まで書いて帰っていったらしい。そのことを全く覚えていない井原氏は、幼時の寝言癖に思い当たり、それが悪化して夢遊病になったのではないかと恐れる。その後、無意識のうちに他人のものを持ち帰ったり、逆に、自分のものを置いてきたり、また、深夜に墓地を徘徊しているところを目撃されるなど、症状は悪化していき、ついには取り返しのつかない大事件を起こしてしまうのであった。
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