兄の終い

出版社 株式会社CCCメディアハウス

ナレーターやがら純子

再生時間 03:04:50

添付資料 なし

出版日 2020/3/31

販売開始日 2021/10/17

トラック数 11

購入音源の倍速版 あり

作品紹介

一刻もはやく、兄を持ち運べるサイズにしてしまおう。

憎かった兄が死んだ。
残された元妻、息子、私(いもうと)
――怒り、泣き、ちょっと笑った5日間。

「わたくし、宮城県警塩釜警察署刑事第一課の山下と申します。
実は、お兄様のご遺体が本日午後、
多賀城市内にて発見されました」
――寝るしたくをしていた「私」のところにかかってきた1本の電話。
それは、唯一の肉親であり、
もう何年も会っていなかった兄の訃報だった。
第一発見者は、兄と二人きりで暮らしていた
小学生の息子・良一君。
いまは児童相談所に保護されているという。
いつかこんな日が来る予感はあった。
金銭的にも精神的にも、迷惑ばかりかける人だった。
二度目の離婚をし、体を壊し、仕事を失い、
困窮した兄は、底から這いがることなく、一人で死んだのだ。
急なことに呆然としている私に刑事は言った。
「ご遺体を引き取りに塩釜署にお越しいただきたいのです」

兄は確かに優しいところもある人だった。
わかり合えなくても、嫌いきることはできない。
どこにでもいる、そんな肉親の人生を終う意味を問う。

遺体を引き取り、火葬し、
ゴミ屋敷と化している兄のアパートを整理し、引き払う。
そして、何より、良一君の今後のことがある。
兄の人生を終うため、私(いもうと)、元妻(加奈子ちゃん)、
そして息子(良一君)の5日間の修羅場が幕を開ける。

「えっ! 」と思わず声が出た私に、
加奈子ちゃんは、「ほら、そっち! 早く! 」と促した。
まだ心の準備ができていないんだって!

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