作品紹介
「小さい頃、よく『嘘をついてはいけない』と言われた。そして『嘘つきは泥棒の始まり』ということを聞いた時、私は泥棒になってしまうことが恐くて、正直に一生懸命生きようと努力した。 しかし、そうした中で、空をゆっくりと流れていく雲を見て、ひゅうという風の音を聞いて、そして大人達の話し声に、私の頭の中で“何か”が弾けていきそうな感じがしていたのだ。この得体が知れない“何か”を初めてぶつけたのは、ドキドキしながら買った小さなノートだった。20年ほど前のこと。その時、たどたどしくても興奮しながら書いたのはネズミと木のオモチャの兵隊のものがたりだった。初めて友達になったネズミと兵隊が旅に出る。その旅の途中で兵隊がネズミを失ってしまう話――私にとって、コトバで表わした最初の“嘘”だったのかも知れない。」(本書「あとがき」より)
【著者プロフィール】
吉田 いち子(よしだ・いちこ)
【著者プロフィール】
吉田 いち子(よしだ・いちこ)
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