作品紹介
長谷川平蔵が「箸にも棒にも掛からぬ」と自省する若き無頼のころ、平蔵は継母からの冷遇に思い余って、とんでもない行動をひそかに決意したことがあった。いわゆる「ブチ切れ」である。平蔵が弟のようにかわいがっていた高杉道場の後輩・池田又四郎は、平蔵の心を読み取りこれを諫めるが、このため平蔵から疎まれ、そのうち姿を消してしまった。それから二十数年を経た今、平蔵が訪れた料理屋の隣座敷から偶然聞こえてきた客の声を聞いて、それが又四郎のものだと気付くが、その声は、世を厭い、あたりをはばかる者のみが持つ陰鬱さに曇っていた。
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