作品紹介
史上最も優れた旅行家の一人だったイザベラ・バード(1831-1904)。この英国人女性の旅行記の魅力は、何よりも臨場感溢れる鮮やかな記述にあります。世界に流布する簡略本原著 “Unbeaten Tracks in Japan”(1885)の訳書として高い評価を得ている金坂清則訳『新訳 日本奥地紀行』を台本としたこのオーディオブックでは、正確でわかりやすい訳文で、小野澤裕子さんのすぐれた朗読を通してその魅力をお届けします。
「旅行記を読むとは、その基になった旅を読み、旅する人を読み、旅した場所・地域を読み、旅した時代を読むことである」という卓見の誠実なる実践によって正確でわかりやすい日本語に再生されたバードの記述が、読者を北海道への「旅と冒険の物語」に誘います。近代の歩みを始めて間もない日本を、一瞬の風景や、真摯な旅を重ねるバードや人々の息遣いまでも感じ取りつつ、彼女と一緒に旅しているような感慨に浸れます。
巻10は、白老(しらおい)の西南24キロメートルの幌別(ほろべつ)の先で往路から外れて噴火湾に沿って旧道を辿り、新旧の道が合する森に至る10日間の旅(170キロメートル)が中心となります。森を経て函館に着いたバードは2日滞在しただけで船上の人となり、台風絡みの航海を経て横浜に辿り着き、東京の公使館に戻りました。時に1878(明治11)年9月18日、英国公使館を出発してからちょうど100日目 でした。最後の報は一挙に3ヵ月後、日本を離れる直前に行った小さな旅に飛びますが、この桐ヶ谷火葬場訪問には、少なくともバードにとって火葬の実態を学び知るという重要な意味がありました(第三十九報続~第四十四報)。
「旅行記を読むとは、その基になった旅を読み、旅する人を読み、旅した場所・地域を読み、旅した時代を読むことである」という卓見の誠実なる実践によって正確でわかりやすい日本語に再生されたバードの記述が、読者を北海道への「旅と冒険の物語」に誘います。近代の歩みを始めて間もない日本を、一瞬の風景や、真摯な旅を重ねるバードや人々の息遣いまでも感じ取りつつ、彼女と一緒に旅しているような感慨に浸れます。
巻10は、白老(しらおい)の西南24キロメートルの幌別(ほろべつ)の先で往路から外れて噴火湾に沿って旧道を辿り、新旧の道が合する森に至る10日間の旅(170キロメートル)が中心となります。森を経て函館に着いたバードは2日滞在しただけで船上の人となり、台風絡みの航海を経て横浜に辿り着き、東京の公使館に戻りました。時に1878(明治11)年9月18日、英国公使館を出発してからちょうど100日目 でした。最後の報は一挙に3ヵ月後、日本を離れる直前に行った小さな旅に飛びますが、この桐ヶ谷火葬場訪問には、少なくともバードにとって火葬の実態を学び知るという重要な意味がありました(第三十九報続~第四十四報)。
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