作品紹介
史上最も優れた旅行家の一人だったイザベラ・バード(1831-1904)。この英国人女性の旅行記の魅力は、何よりも臨場感溢れる鮮やかな記述にあります。世界に流布する簡略本原著 “Unbeaten Tracks in Japan”(1885)の訳書として高い評価を得ている金坂清則訳『新訳 日本奥地紀行』を台本としたこのオーディオブックでは、正確でわかりやすい訳文で、小野澤裕子さんのすぐれた朗読を通してその魅力をお届けします。
「旅行記を読むとは、その基になった旅を読み、旅する人を読み、旅した場所・地域を読み、旅した時代を読むことである」という卓見の誠実なる実践によって正確でわかりやすい日本語に再生されたバードの記述が、読者を北海道への「旅と冒険の物語」に誘います。近代の歩みを始めて間もない日本を、一瞬の風景や、真摯な旅を重ねるバードや人々の息遣いまでも感じ取りつつ、彼女と一緒に旅しているような感慨に浸れます。
巻9は、ペンリウク宅での寝食を共にしながらの聴き取りに基づく成果の後半と、1878(明治11)年8月27日早朝に平取(びらとり)を発って門別に出、泥酔するアイヌの嘆かわしい光景を目にした後、佐瑠太(さるふと)に入って一泊し、勇払(ゆうふつ)を経て白老(しらおい)に至った後に行った樽前火山探訪に関する記述、そして白老の記述からなります。一大目的を果たさんとするバードの情念と彼女を迎える人びとの交流の情景が、その場に自分が居合わせているかのように耳に入ってくる感慨には、記述自体の歴史的価値を超えて大きなものがあります(第三十七報続~第三十九報)。
「旅行記を読むとは、その基になった旅を読み、旅する人を読み、旅した場所・地域を読み、旅した時代を読むことである」という卓見の誠実なる実践によって正確でわかりやすい日本語に再生されたバードの記述が、読者を北海道への「旅と冒険の物語」に誘います。近代の歩みを始めて間もない日本を、一瞬の風景や、真摯な旅を重ねるバードや人々の息遣いまでも感じ取りつつ、彼女と一緒に旅しているような感慨に浸れます。
巻9は、ペンリウク宅での寝食を共にしながらの聴き取りに基づく成果の後半と、1878(明治11)年8月27日早朝に平取(びらとり)を発って門別に出、泥酔するアイヌの嘆かわしい光景を目にした後、佐瑠太(さるふと)に入って一泊し、勇払(ゆうふつ)を経て白老(しらおい)に至った後に行った樽前火山探訪に関する記述、そして白老の記述からなります。一大目的を果たさんとするバードの情念と彼女を迎える人びとの交流の情景が、その場に自分が居合わせているかのように耳に入ってくる感慨には、記述自体の歴史的価値を超えて大きなものがあります(第三十七報続~第三十九報)。
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