作品紹介
史上最も優れた旅行家の一人だったイザベラ・バード(1831-1904)。この英国人女性の旅行記の魅力は、何よりも臨場感溢れる鮮やかな記述にあります。世界に流布する簡略本原著 “Unbeaten Tracks in Japan”(1885)の訳書として高い評価を得ている金坂清則訳『新訳 日本奥地紀行』を台本としたこのオーディオブックでは、正確でわかりやすい訳文で、小野澤裕子さんのすぐれた朗読を通してその魅力をお届けします。
「旅行記を読むとは、その基になった旅を読み、旅する人を読み、旅した場所・地域を読み、旅した時代を読むことである」という卓見の誠実なる実践によって正確でわかりやすい日本語に再生されたバードの記述が、読者を北海道への「旅と冒険の物語」に誘います。近代の歩みを始めて間もない日本を、一瞬の風景や、真摯な旅を重ねるバードや人々の息遣いまでも感じ取りつつ、彼女と一緒に旅しているような感慨に浸れます。
巻3では1878(明治11)年6月22日~23日の奥日光湯元への旅と、日光に戻っての1日、そして快適な日光滞在に別れを告げ、鬼怒川河谷経由の未踏の地の旅を開始した1日目の驚きが綴られます。湯元への旅には馬の旅や温泉場の状況把握という意味がありました。金谷家を含む人々やその暮らしの諸相を見聞し、買物の経験も踏まえての経験はこれからの旅のためのいわば予備実験でした。子供に焦点を合わせた記述を通して日本人の社会の特質を喝破する思索の的確さと眼差しの優しさは秀逸です(第九報~第十一報)。
「旅行記を読むとは、その基になった旅を読み、旅する人を読み、旅した場所・地域を読み、旅した時代を読むことである」という卓見の誠実なる実践によって正確でわかりやすい日本語に再生されたバードの記述が、読者を北海道への「旅と冒険の物語」に誘います。近代の歩みを始めて間もない日本を、一瞬の風景や、真摯な旅を重ねるバードや人々の息遣いまでも感じ取りつつ、彼女と一緒に旅しているような感慨に浸れます。
巻3では1878(明治11)年6月22日~23日の奥日光湯元への旅と、日光に戻っての1日、そして快適な日光滞在に別れを告げ、鬼怒川河谷経由の未踏の地の旅を開始した1日目の驚きが綴られます。湯元への旅には馬の旅や温泉場の状況把握という意味がありました。金谷家を含む人々やその暮らしの諸相を見聞し、買物の経験も踏まえての経験はこれからの旅のためのいわば予備実験でした。子供に焦点を合わせた記述を通して日本人の社会の特質を喝破する思索の的確さと眼差しの優しさは秀逸です(第九報~第十一報)。
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