作品紹介
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」の冒頭部分が有名な川端康成の代表作。雪国の温泉宿を舞台に、妻子のある島村と、土地の芸者である一途な駒子の揺れ動く心の襞を軸に、彼女とも知り合いの美しい葉子への関心と平行しながら描かれる。雪国の雪の白さ、冷たく澄みきった空気の透明感や緊張感、温泉の温かさや湯煙、突き抜けるような青空、列車の汽笛、そして駒子の肌の感触、女性2人の美しい声、火事の紅い炎と熱気・・・五感に訴える哀しくも美しい川端美学の結晶的な作品。上巻は、トンネルの向こうに広がる雪国の駅に着いたときの葉子の様子、その温泉地での島村と若芸者駒子との出会いの回想から始まる。
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