作品紹介
本書は明治・大正の作家、夢野久作によって書かれた哀しくも不思議な世界である。
日常の中に非日常的世界の入り口を匂わす世界観は、江戸川乱歩、HP・ラヴ・クラフトなどにも通じ、倒錯した世界に踏み込んでしまいそうになる醸成された雰囲気がある。
SF作家、探偵小説家、幻想文学作家として人気を博した夢野久作の世界観をラジオドラマ風に再現しました。
あなたは近頃、この浦塩(ウラジオストク)の町で評判になっている、風来坊のキチガイ紳士が、私だという事をチットモ御存じなかったのですね。
ハハア。ナルホド。
それじゃそうお思いになるのも無理はありません。
泥棒市に売れ残っていた旧式のボロ礼服を着ている男が、貴下のような立派な日本の軍人さんを、スウェツランスカヤ(浦塩の銀座通り)のまん中で捕まえて、こんなレストランへ引っぱり込んで、ダシヌケに、「私の運命を決めて下さい」などと、お願いするのですからね。
キチガイだと思われても仕方がありませんね。
お笑いになると困りますが、私はこう見えても生抜きのモスコー育ちで、旧ロシアの貴族の血を享けている人間なのです。
そうして現在では、ロマノフ王家の末路に関する「死後の恋」という極めて不可思議な神秘作用に自分の運命を押えつけられて、夜もオチオチ眠られぬくらい悩まされ続けておりますので…
実は只今からそのお話をきいて頂いて、あなたの御判断を願おうと思っているのですが。
勿論それは極めて真剣な、且つ歴史的に重大なお話なのですが…。
少々前置が長くなりますが、註文が参ります間、御辛棒下さいませんか…ハラショ…。
一見四十過ぎに見間違えるボロ礼服を来た若者ワーシカ・コルニコフは、大正七年の八月のある夜。
一夜にして白髪初老の男性になるほどの不思議な体験をする。
ロシア革命の最中。モスコーの貴族の息子であったワーシカは家族・家産を奪われ、その自暴自棄から、とある斥候部隊に配属される。
そこで出会った境遇の似た青年リヤトニコフとの友情話は、ワーシカの欲望と革命の泥沼の中で意外な結末を迎える。
一夜にして一人の青年を狂わせた『死後の恋』とは。
その宝石は本物か。
その恋は本物か。
日常の中に非日常的世界の入り口を匂わす世界観は、江戸川乱歩、HP・ラヴ・クラフトなどにも通じ、倒錯した世界に踏み込んでしまいそうになる醸成された雰囲気がある。
SF作家、探偵小説家、幻想文学作家として人気を博した夢野久作の世界観をラジオドラマ風に再現しました。
あなたは近頃、この浦塩(ウラジオストク)の町で評判になっている、風来坊のキチガイ紳士が、私だという事をチットモ御存じなかったのですね。
ハハア。ナルホド。
それじゃそうお思いになるのも無理はありません。
泥棒市に売れ残っていた旧式のボロ礼服を着ている男が、貴下のような立派な日本の軍人さんを、スウェツランスカヤ(浦塩の銀座通り)のまん中で捕まえて、こんなレストランへ引っぱり込んで、ダシヌケに、「私の運命を決めて下さい」などと、お願いするのですからね。
キチガイだと思われても仕方がありませんね。
お笑いになると困りますが、私はこう見えても生抜きのモスコー育ちで、旧ロシアの貴族の血を享けている人間なのです。
そうして現在では、ロマノフ王家の末路に関する「死後の恋」という極めて不可思議な神秘作用に自分の運命を押えつけられて、夜もオチオチ眠られぬくらい悩まされ続けておりますので…
実は只今からそのお話をきいて頂いて、あなたの御判断を願おうと思っているのですが。
勿論それは極めて真剣な、且つ歴史的に重大なお話なのですが…。
少々前置が長くなりますが、註文が参ります間、御辛棒下さいませんか…ハラショ…。
一見四十過ぎに見間違えるボロ礼服を来た若者ワーシカ・コルニコフは、大正七年の八月のある夜。
一夜にして白髪初老の男性になるほどの不思議な体験をする。
ロシア革命の最中。モスコーの貴族の息子であったワーシカは家族・家産を奪われ、その自暴自棄から、とある斥候部隊に配属される。
そこで出会った境遇の似た青年リヤトニコフとの友情話は、ワーシカの欲望と革命の泥沼の中で意外な結末を迎える。
一夜にして一人の青年を狂わせた『死後の恋』とは。
その宝石は本物か。
その恋は本物か。
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