音の歳時記 －涼－

音の歳時記 7月 「涼」 7月は日本の夏。 日本では遠い昔から夏の暑さを自然界の光や色彩、音、香り、そよ風など、心地いい刺激と人は対話して心を和んできました。 今回は「セミの鳴き声」、それと夏の暑さもひと段落するイメージですが、和みに欠かせない「虫の鳴き声」、そして爽やかな風を迎える「風鈴」を主人公に「音」で感じる「涼」をテーマにしました。 はじめはお馴染みのセミです。規則的な振動と空間、そして不規則な変化とが絡み合い、コーラスのように調和のとれた響きとなってきこえてきます。 季節のはじめに鳴くニイニイゼミが鳴き始めます、次にクマゼミ、ヒグラシ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシの順にオーバーラップして行き、虫の鳴き声に変わっていきます。 どこか風情のあるスズムシの奏でる自然の音色に昔から日本人が親しんできました。キリギリスも同様です。「チンチロリン」と鳴くとされるマツムシも然り、古くはスズムシのことを「マツムシ」、マツムシのことを「スズムシ」と呼んでいた事もあるそうです。ここにエンマコオロギが参加します。スズムシ、マツムシ、キリギリス、エンマコオロギです。虫たちのハーモニーです。周波数の高い音程から低い音程に移っていきます。 それを受けて風鈴の登場です。風鈴には金属で出来たものから、ガラス、陶器、木炭など様々な材質の様々な形のものが日本各地にあります。風鈴の音色を聴くとなぜか涼しい、風がふいていると脳が感じとり、脳の思い込みによって涼しいと判断するそうです。金属製の南部風鈴、ガラス製の江戸風鈴など大小の風鈴の音色が夏を奏でます。 森林の木の葉の揺れ、小川のせせらぎ、縁側での風のそよぎ、夜空に響く花火の音、時を忘れて、ストレスを吹っ飛ばし、暑い夏をリラックスしてみませんか。