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人間腸詰

著者 夢野久作
ナレーター 伊原農

再生時間 01:24:45

出版社 パンローリング

配信日 2011/11/14

図表 なし

分割ファイル数 4 枚

倍速版 なし

¥309 税込
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作品紹介

落語のような一人称語りで進められる本作は、明治・大正の作家、夢野久作によって書かれた禍々しく、時にコミカルな不思議な世界である。

日常の中に非日常的世界の入り口を匂わす世界観は、江戸川乱歩、HP・ラヴ・クラフトなどにも通じ、倒錯した世界に踏み込んでしまいそうになる醸成された雰囲気がある。

SF作家、探偵小説家、幻想文学作家として人気を博した夢野久作の世界観をラジオドラマ風に再現しました。

あっしの洋行の土産話ですか。
イヤハヤどうも……あんまり古い事なんで忘れちゃいましたよ。何なら御勘弁願いたいもんで……ただもうビックリして面喰めんくらって、生命からがら逃げて帰けえって来たダケのお話でゲスから……。
……ヘエ……あの話。あの話と申しますと? ヘエ。世界が丸いお蔭で、あっしが腸詰になり損なった話……。

うわあ。こいつあ驚いた。誰からお聞きになったんで。
ヘエ。あの植木屋の六から……弱ったなあドウも。飛んでもねえ秘密をバラしやがって……アイツのお饒舌と来た日にゃ手が附けらんねえ。死んだ親父から聞きやがったんだナ畜生……誰にも話したこたあねえのに……。

それじゃそのガリガリの一件から世界のマン丸いわけが、わかったてえお話を冒頭からやって見やすかね……ガリガリてなあ人間を豚や犬とゴッチャにして腸詰にする器械の音なんで……ヘエ。
亜米利加に今でも在る。旦那様も御存じ……ヘエヘエ……そのガリガリの中へあっしが這入損そこねたお話なんでゲスからアンマリ気持のいいお話じゃ御座んせん。
亜米利加では人を殺すとアトがわからねえように腸詰めにしちまうんだそうですからね……。

1904年。アメリカのセントルイスで開催される万国博覧会に、当時27歳の腕のいい大工の治吉は、
植民地であった台湾館の建設へ派遣される。

開幕後も入り口に立ち、客寄せを行っていると、
目玉の烏龍茶を給仕する娘二人、チイチイとフイフイから色目を使われるようになる。

ある夜、若さ故から春吉は、そのうちの一人チイチイと会場を抜け出し、
連れられていくがままある館に到着する・・・。


グロテスクなタイトルとテーマから、ホラー・スプラッターものの小説をイメージしてしまうが、
本作の最大の特徴は、その語り口と、オチの付け方であろう。

一見するとグロ“そう”で気持ち悪“そう”な話だが、
グロい。気持ち悪い。で終わらせない、なんともモヤモヤした、オチで、
強烈なテーマを中和する語り口。

本当に気持ち悪いのは、直接的な描写か。説明できない「世界が真ん丸いわけ」か・・・。